こんにちは、だるまんです。
ブラック企業という言葉があるように、院生の中には大学院はブラックだ、うちの研究室はブラック研究室だ、という話を度々耳にすることがあります。
そのほかに、ブラックという言葉を直接的に使わなかったとしても、モラハラ、メンタル崩壊、エナドリ漬け等など、華の院生生活とかけ離れた話も、聞こえてくるものです。
それほど、大学院とはブラックなのでしょうか?
大学院受験を検討されている受験生に向けて、大学院はブラックなのかどうか、についてお話しします。
質問内容
大学院進学を検討している者です。周りに大学院卒業者がおらず、ネットで情報収集しているのですが、大学院はブラックだとか、教授とうまく行かず精神的につらいとか、毎日眠れないとか…ネガティブな話をたくさん目にします。大学院はブラックなんですか?
だるまんの回答
大学院の核心
相談者さんが気づかれたとおり、分野に限らず、大学院生活におけるネガティブな話は、度々聞こえてくるものです。
例として一部を挙げてみると、
- 教授と気まずくなっていてどうしたらいいかわからない
- 研究室が合わなくて他の研究室に移りたい
- 徹夜しても論文が終わらなくて泣きそう
- 教授から冷たい言葉を言われた
- 他の生徒と私に対する教授の対応や態度が違う
- 研究が上手く進んでおらず留年しそうで辞めたい
- 毎日毎日籠ってばかりでストレスを感じる
- 周りは結婚して人生のコマを進めているのに自分は遅れていて焦る
等などがあります。
これらを少し類分けすると、①教授との関係性について、②研究生活について、の2点おいてのトラブルや苦労に関する悩みや不満が多いようです。
それもそのはず、これが大学院の核心だからです。
ブラック企業の話が他人事ではないように、大学院がブラックになってしまうのも、誰にでもありえる、隣り合わせの話です。
この大学院の核心につながる、大学院の特性についてお話ししますので、予防として把握しておいて頂ければと思います。
大学院の特性
これから、大学院の特性を2点ほどお話しします。
1.研究室という名の零細企業
大学院とは、大学に付属する形でさまざまな研究室があり、そこに大学院生が所属していますが、別の角度から見てみると、研究室という名の零細企業が複数集まっている状態、とも見ることができます。
仮にそのように見てみると、教授が社長、他教員が社長に続く各ポジションにあり、学生が社員、というようにコマを置くことができます。
よって、社長である教授の一声が鶴の一声であり、教授は直接学生と関わらずとも各教員から報告は適宜受けていると思われ、時に1対1で教授から指導を受ける際には、やりとりによって良くも悪くも評価はあり、教授の態度とは学生によって異なるものです。
零細企業だからこそ、距離感が近しい割に、親しき中にも礼儀ありで、人間関係を上手に構築していくための努力や気遣いというものは欠かせない、特に礼儀礼節を重んじる大学院ではその色がより濃い部分はあるのだと思います。
ここで教授との関係性が良好な院生は、その後、教授の右腕として、仕事のパートナーになっていくケースもよくある話ですので、これから進学される方は、指導教授と良好な関係性を築いていくための信頼を積み重ねて育てていくことです。
2.象牙の塔
かなり古い表現になりますが、大学院の別の表現として有名な言葉があります、「象牙の塔」です。
少し言葉の定義をお話しすると、
象牙の塔とは、旧約聖書由来の言葉で、意味は「非現実的な夢想世界」を指し、学者が世俗から離れ、学問の世界に閉じこもる研究姿勢・学究的態度を指した言葉です。
どちらかというとネガティブな意味合いを含むこの言葉を嫌えんする方もいますが、この言葉の指すところは、決してゼロではないと個人的には感じています。
なぜなら、その言葉の通り、学者が世俗から離れ、学問の世界に閉じこもる研究姿勢…がなければ、研究は成り立たないからです。
これをわかりやすく言いかえると、小学生の学びが広く浅くであるならば、大学院の学びは狭く深くである、ということなので、1つのことを深く掘り進めていくのが本業となります。
1つのことを深く掘り進めていくというのは、自らPDCAを繰り返しながら新たな見解を見出し世の中に生み出していくことなので、基本的に時間と精神の投資が必要です。
そのため、朝から晩まで昼夜問わず、休日を返上しながら、その研究に取り組んでいく、これが研究者の生活そのものなのです。
そして、その研究者の養成機関である大学院教育だからこそ、院生はそれに近い生活を自然と強いられることになります。
すると、自然と睡眠時間を削り徹夜の日々が続く、教授からも厳しいコメントをもらう、私的時間が使えずストレスがたまる、研究が楽しくなくなる、恋愛や結婚している周りがうらやましくなる、自分が何をしているのかわからなくなってくる…
というように、こもる研究生活が長く続くことに合わない方は、少なからず葛藤を覚えるようになるのです。
これはブラックというより、研究者生活が基本的にそういうものなので、それが合わなければ、そう表現するにいたるのではないか、と思います。
なので、大学院へこれから進学される方は、大学院がこのような学び舎であると言うことを大まかには把握しておくことです。
ブラックにするのは自分次第
ところで、ここでお伝えしたい肝心なことがあります。
教授もさまざまな方がおり、教授の雰囲気から醸成される研究室のカラーがあるので、自分との相性をも含め、どのような教授の門下生になるのか、志望先をよく見極めることはもちろんのことですが、
自分の態度、心の持ち用次第で、教授が、大学院生活がブラックにいくらでもなりえるということも胸に留めておいて頂きたいことです。
まとめ
以上、「大学院はブラックなのかどうか」でした。
人に良い人、悪い人というものは、ないと思います。
自分によって相手が良い人にもなり、悪い人にもなるのです。
要は、自分が醸し出すオーラが相手にどのようなケミストリーを引き起こすのか、結局物事の根本はすべて自分にあると言うことなので、そのようなことがあるとしたら周りのせいにする前に自分の内省からすることです。
周りを変えようとするのではなく、自分が変わることで周りは自然と変わります。