看護系大学院進学理由には、大学教員を目指すためであることも多いです。大学教員のメリット・デメリットをまとめてみました。今後の進路選択の役に立てて頂ければと思います。
大学教員になるためのロードマップもこちらで解説しています。
大学院教員になることのメリット
社会的地位
はじめ講師からのスタートであったとしても、努力を積み重ねていけば、教授になることができます。
その道のりは実に見方によれば孤独で長い道のりになりますが、研究してきた功績は必ず評価され、一研究者として社会に認められ、その功績は世に残ります。
幅広いネットワーク
国内外の研究室との交流、医療・看護系学会や研究活動を通して知り合う、ネットワークは実に宝です。
フットワークを軽くすれば、様々な人々と繋がり、それがきっかけで共同研究をしたり、情報交換をしたりと、多くの物事との出会いにつながっていきます。
好きな課題を追求していける
もし、「研究」ということに愉しみを見出すことが出来たら、この職業は天職だと思います。大学教員には、それぞれに専門としているライフテーマを持っており、そのテーマを長年追いかけ続けています。
自分の関心のある分野について、仕事として追求していけ、それが結果として業績や功績に繋がっていけるとしたら、やりがいのある仕事になれると思います。
人材育成へのやりがい
看護系に限らず、教員の役割は「人材育成」にあります。
看護系業界を担っていく次世代の研究者や管理職者、組織のリーダー達を育成することは、実に社会貢献の高い職務だと思います。
大学院教員になることのデメリット
時間がかかる
教授になれるまで、どれくらいの時間が必要かというと、ざっくりですが、大学院入学時点から早くて20~25年程度だと思います。
もちろん、個人差はあると思いますが、
例えば、大学院修士2年→大学院博士3年→大学教員講師・助手5年→助教授5年→準教授5年→教授とすると、25年となります。
個人差となる要因として、例えば、「出産等で育児休暇をとる」、「海外留学する」、「一度臨床に戻る」などの進路の変更や修正があることもあります。他にも「出身大学」「ポストの空席状況」「論文発表実績」も少なからず影響します。
決して年功序列ではなく、自分でポストを探していかねばならない苦労はあると思います。
決して高給取りとはいえない
就職先は学校法人となるため、その法人が国立なのか私立なのかによって給与の開きがあります。国立であれば公務員同様の扱いとなるため、年収では高給取りとはいかないと思いますが、退職金を期待できます。
一方、私立大学のほうが若干高給取りと聞きます。もちろん、他職種に比較すると高給取りではあり、教授の給与という一点で比較すれば高く感じますが、そこに至るまでに投資した時間と学費等を考えれば、そう高い給与ではないはずです。
特殊な人間関係
アカデミアの業界は、看護系に限らず、非常に狭い社会です。
それは、人の出入りが多く、社会での生き残りを掛けてサービス向上を図ることに切磋琢磨する民間企業とは異なり、メンバーはほぼ変わらない小さな組織で外部に左右されず虎視眈々と活動をする研究室ならではの特性のような気がしています。
もちろん、学生は流動していきますが、それでもある一定期間を少人数で過ごすため、人間関係は浅いようで濃密です。
孤独な職
人材育成とは別に研究実績を残すことも大学教員の大事な業務のひとつです。
研究内容について、ゼミでは周りから助言をもらったり、教授から精査してもらうことはありますが、基本的にはひとりで全て考え、悩み、取り組み、修正して結果を出さなければならない、ひたすら孤独な作業です。
休日も平日
大学教員に休日はないに等しいと思います。
平日は朝から夜遅くまで、授業の準備、教授の研究の手伝い、学生の卒業研究精査、学生生活支援の対応、ゼミ資料作成、事務処理、自分の研究など等、こなさなければならないことが山ほどあります。
休日には、新たな学びを得るための勉強会や学会、自学学習をしたり調べ物をしたり、時には学校説明会のイベント出席などで、ほぼオフはないと思っていたほうがいいです。
関心のないテーマも降ってくる
教員にはそれぞれライフテーマがありますが、研究テーマにもトレンドというものがあります。
いくら関心があって取り組んでいたとしても、助成金を貰えなければ、研究を続けることは出来ず、やはり時代のニーズを読まざる得ない時も多々あります。
また、教授のサポートや学生の研究を手伝うこともあり、専門外のテーマを担当することもあります。
関心のないテーマに取り組むことは、研究者としてためになることですが、そのような愉しくないこともあるということを把握しておくことをおすすめします。
名門大学への就職が難しい
大学教員の席は席取り合戦であると、一般的には言われておりますが、看護業界に至っては少し異なる傾向があります。
厚労省の政策により看護大学や看護学科新設大学がかなり増え、看護教員不足になっているのが現状だからです。ただし、それは地方国公立大学や新設私大が多い傾向があります。
時代の流れもあると思いますが、地域を拘らないようであれば、地方大学もおすすめです。都心や名門大学を目指すなら、地方大学での教員経験を経て、エントリーするのもひとつの方法です。
看護系教員を目指す際に知っ得べきこと
以上を把握した上で、大学教員になることを目指す際に知っ得べきことをポイントに挙げます。
教授は担任でも師匠でもあり上司
先ほど、大学院は狭い社会であるとの話をしました。人間関係は浅く密です。
大学教授との関係性も、大学時とは大きく異なり、1対1での関係性構築となります。
学生の立場からすれば担任でもあり、研究者の卵の立場からすれば師匠でもあり、組織からすれば上司でもあります。
教授との良い人間関係を築ける努力が必要です。
個を出しすぎない
看護業界に限った話ではなく、日本社会の特殊性だと思います。
「出る釘は打たれる」…小さな組織だからこそ、その辺りの配慮は少なからず必要かもしれません。社会人学生であるため、メイクや服装など気を遣う部分はあると思いますが、アカデミアでは容姿ではなく、知識や情報で目立つことをおすすめします。
コツコツ努力する
大学院入学はスタート地点です。修士課程で取り組んだことが博士課程につながり、博士課程で取り組んだことが大学教員のスタート地点につながり…とすべて、糸のように、つながっていきます。
それは、学習ばかりでなく、人間関係も同様です。目立たずコツコツ努力して実力をつけていければ、その時には、絶景が見えているはずです。
夢は必ず叶う!
大学教員になることは、時間は掛かりますが、誰にでも開かれた道だと思います。
メリット・デメリットを挙げましたが、人によってはデメリットもメリットに取れることかもしれません。これを踏まえて、大学教員への道へと歩みを進められることを願っております。
最後までお読み頂きまして、ありがとうございます。次は「受験先専攻選びのコツ」です♪