こんにちは、だるまんです。
大学院の博士課程進学と言えば、大学教員を目指すのかと思われがちですが、中にはそうではない方の進学もあります。
大学教員になるわけではないなら、なぜ、わざわざ、博士課程へ進学するのでしょうか?
大学教員志望ではない人が博士課程へ進学することって、それほど価値のあるものなのでしょうか?
今回は、大学教員になるわけではないのに、なぜ博士課程へ進学するのかについてお話しします。
質問内容
会社の先輩に、社会人進学で大学院の博士課程へ行く予定の人がいます。会社で研究費は出るし、研究だってそこそこでき、博士課程を出たからってそれほど給与が良くなるわけではないので、わざわざ学費を払って大学院の博士課程へ行く人の気が知れません。なぜ博士課程へ行くのでしょうか?
だるまんの回答
博士課程進学で多い理由
博士課程へ進学する理由としてよく知られているのは、
- 大学教員になるため
- 研究者になるため
で、要は、将来、大学の教授を目指すためという方が大半です。
このケースは博士課程進学目的の王道なので、大いに納得できる理由だと言えます。
では、今回の相談者さんのお話しにあるケース、要は、大学教授を目指す以外の理由で博士課程へ進学する理由とは何なのでしょうか。
個々にさまざまな理由があると思いますが、限られた情報になりますが、いくつかあげてみます。
- 他分野の専門知識を得て自らの専門性につなげたい
- 学術的研究技術力をより高めたい
- 博士号を取ることで広がる人脈と次のビジネスのため
- 自己成長することでやりがいを感じたい
それぞれについてお話しします。
1.他分野の専門知識を得て自らの専門性につなげたい
大学院というのは、専門性を深める学び舎であると共に、転科ができるチャンスです。
大学の専攻とは異なる専攻分野であったとしても、進学先大学院研究室の教授の許可があれば、他専攻に転科をして進学することは可能で、実際にこのルートで転科されている方は非常に多いものです。
例えば、
- 農学・化学・理工系学部出身者⇒医学系大学院へ進学
- 看護学部出身者⇒心理学系や福祉系大学院へ進学
- 経済学部出身者⇒法学系大学院へ進学
- 工学部卒業者⇒看護学系大学院へ進学
というように、学部の専攻と近しい専攻に進学することの方が多い傾向はありますが、進学理由が明確にあれば、転科とは可能なことなのです。
これが、学士を持っている方なら修士課程から、修士を持っている方なら博士課程からそのチャンスを得ることができるので、そういう意味で博士課程へ進学する方はいる、ということです。
なぜ大学院で転科をするのかということについてはさまざまな理由がありますが、
例えば、
- 工学部出身者で医学的観点で医学器機開発をしたい
- 建築学部出身者で高齢者施設を建設するにあたり、高齢者福祉に関する学識を得たい
- 農学・化学・理学部出身者で基礎医学研究者になりたい
- 看護学部出身者で心理カウンセリングの技術を身につけたい
というように、学部や修士課程での専攻にプラスアルファで他専攻の学びを博士課程で得ることで、自らの専門性を高めることができると言えます。
2.研究技術力をより高めたい
企業で研究を行う方もいると思いますが、持ち合わせた研究技術や知識、経験が足りないと感じる方もおり、研究機関である大学院だからこそ得られる学術的研究技術を学びたいと博士課程へ進学されるようです。
修士課程が研究者の基礎を学ぶ研究者お試し期間だとしたら、博士課程は本格的な研究者実践編です。
4年間という在籍期間中には、国内外の学会へ参加して自ら発表をする機会は多くなる、論文の審査基準は厳しくなるので研究レベルが必然と高くなり、研究方法を学ぶのみならず研究者としての研究力を確実に伸ばすことができます。
その経験と技術力を武器に民間企業で研究できたとしたら、それこそ鬼に金棒なのではないでしょうか。
3.博士号を取ることで広がる人脈と次のビジネスのため
大学院は、その業界における人脈を広げるチャンスが豊富な場です。
例えば、大学の研究室を訪れる外国からの来客、自分の研究テーマに関する国内外の専門家、現場の方々、学会等で知り合える研究者、自分とは異なるキャリアを持つ同期や先輩達等などです。
これは大学院ならでは得られる環境であり、それが博士課程なら猶更です。
この人脈によっては、共同研究を行ったり、協力をお互いに依頼しあったり、共同起業をするなどビジネスパートナーになれることも多いにあるのです。
必ずそうなれると言う確約があるわけではないですが、大学院生という立場だからできる人脈であり、自分次第ではそのようなチャンスもありえる、ということは大学院進学の魅力の一つだと思います。
4.自己成長することでやりがいを感じたい
中には、シンプルに、博士課程の学位を得たいという方もおり、博士を2個、3個持つ方もまれにいます。
論文作成をするのが好きだ、ということもあれば、自分に課題を課し、クリアしていくことで自己成長をはかり、やりがいを感じると言う方もいます。
まとめ
以上、「大学教員になるわけではないのに、なぜ博士課程へ進学するのか」でした。
博士課程を含め、社会人になって再び学生になれるチャンスを得たことは、誰にでも与えられる環境ではない、幸運だと思います。
人は目先のことをクリアすることに注力しがちですが、チャンスというのは長年、努力を積み重ねてきた人こそつかめるものです。
その方向性が大学院にあるのだとしたら、ぜひ、博士課程まで進んでみることです。
自分のために投資した学費、労力、時間は、決して裏切らない、必ず何かしらの形で自分の資産となり、返って来るはずです。
徳川光圀の言葉を借りてのことですが、「苦は楽の種、楽は苦の種と知るべし。」