こんにちは、だるまんです。
大学院受験では、大学院進学後に取り組みたい研究テーマを決めなくてはならないのですが、これが受験生にとっては意外とハードルが高いものです。
研究テーマを決めるためには、まずその土台となるエビデンスたる「データーベース」が必要です。
そのデーターベースこそ、文献整理表なのですが、その作り方についてはあまりシェアされていないので、今回は、研究文献整理の仕方についてお話しします。
これから研究テーマを決める方、決めかねている方、決まったけどエビデンスが薄い方は、ぜひこの文献整理表を作って強いエビデンスというデーターベースを持って受験に挑んでください。
質問内容
研究テーマを決めるうえで、文献整理をしたほうがいいことを知りました。具体的にどのように行うのか、教えてください。
だるまんの回答
文献整理ってなに?
そもそも論で、文献整理とは何なのかについて、簡単に触れておきたいと思います。
「文献整理」とは、公表されている論文をエクセルなどに項目別に情報を書き出して、情報整理を行うことを指します。
なぜ情報整理をする必要があるかというと、云十枚、云百枚の文献をこれから読んでいくからです。
これを付箋などでメモ書きしている程度では、後で見返した際に、どこに何が書かれていたのか、誰が何を言っていたのか、どれが引用文献で参考文献になるのか、わけわからなくなってしまいます。
そのため、エクセルシート1枚に、必要な情報を書き出していき、自分だけのオリジナルデータベースを作っていく必要があるのです。
具体的には、関心のある分野の研究論文を集めたら、その論文ごとの「タイトル」、「出典元」、「投稿者名」、「要約」、「研究手法」、「所感」等、自分に必要な情報を項目別にエクセルへ書き出していきます。
そうすることで、
- たくさんある関連論文の情報が一目で整理がつく
- どのような分野が研究されているのか把握できる
- どのような分野が研究されていないのかがわかる
- さまざまな研究方法を知ることができる
- 論文の書き方のパターンを勉強できる
というメリットを得ることが出来ます。
これは、大学院進学をすれば必ず行う作業ですが、誰からも、指示も指導もないものです。
なぜなら、大学院受験で研究テーマを決めている時点で、すでに文献整理は、取り組んでいるものという前提だからです。
出願前の教授との事前相談でも、取り組みたい研究テーマについて説明する際には、文献整理で得られた情報が役に立ちますので、受験生は必須作業となります。
なので、これから研究テーマを決める方、研究テーマがなかなか決まらない方、研究テーマを何にしたらいいか悩んでいる方をはじめ、大学院進学が決まった方は入学後に必ず必要な資料になりますので、ぜひ、進学前から文献整理をしっかり取り組んでおくことです。
では、具体的な文献整理表の作成方法についてお話しします。
文献整理表の作成方法
文献整理表といっても、その作成方法に決まったルールは基本的にない、ものです。
筆者が知るところでは、多くの方が大学の卒論製作の際にゼミの教授から文献整理表の作成方法を教わりますが、大学院では文献整理方法を教わることはないです。
「文献整理は既すでに出来ている」前提で、話が始まるものなので、「文献整理って何ですか?」とは今さら聞けないことなのです。
だからといって、文献整理方法にルールはなく、自分が見てわかりやすい資料であればいいので、各自自己流で工夫しながら作成していると思います。
例えば、論文を読んだらA4用紙1枚にまとめる方もいれば、論文に直接要点のみを書きこんでいく方もいれば、エクセルに情報をまとめる方等など、方法はいろいろあります。
ですが、一般的に多くの研究者や大学院生が行っているのは、エクセル表1枚にまとめていく管理方法です。
ここでは基本的な作り方についてシェアをしたいと思いますので、皆様がより必要だと思う情報があればプラスアルファしながら、ご自分のオリジナル文献整理表を作ってみてください。
① 文献を集める
まずは、文献集めです。
文献には、論文だけでなく、関連図書も含めますので、探す時には一緒に探しておくとよいと言えます。
そして、文献検索をする方法は、下記の3つの方法があります。
- 大学の図書館にある「文献検索用検索画面」
- Cinni
- google schoolar
Cinniとgoogle schoolarはネットからアクセスして無料検索できるので、おすすめです。
これらで文献検索をすることで、その論文が保管されている図書館を知ることができますので、必要な文献や図書は取寄せるか、複写をして手元に保管する必要があります。
保管先である図書館に郵送依頼の手続きをすることも可能で、アクセスできる距離であれば、図書館に一般人として入館手続きを取ることで、入館して文献の印刷をすることも可能です。
また、図書資料ならば、お住い地域の図書館で調べて、貸出しで印刷するのもおすすめです。
② エクセル表を作る
では、集めた文献ごとに、データ保存しておきたい項目をエクセル表に入力していきます。
まずは基本項目として、下記の項目をエクセルのヘッドに入れておくと良いと思います。
No. | 文献の綴り番号 |
読んだ日付 | 論文を読んだ日付 |
タイトル | 論文のタイトル |
著者 | 論文投稿者の氏名および所属 |
出典元 | 論文の発表年数、雑誌名,巻数,所在ペ―ジ |
発表年 | 論文が公表された年数 |
要約 | 研究論文の内容について簡易な要約 |
研究手法 | 研究論文で行われた研究手法と対象者 |
状況 | 先行研究、参考文献、引用文献に使用できるかどうかの自分の判断を〇しておきます。 |
Key word | 論文に複数回出てくるキーワードや、Keywordで書いてある言葉を書いておくと、 後でタイトルを決めたり、他文献を探す時にも便利です。 |
備考 | 所感やメモしておきたいコトを書きます。 例えば、「研究方法が参考になりそう」とか「はじめにの書き出しがいい感じ」等です。 |
実際に作ってみるとこんな感じです⇓
項目の内容選びは、人それぞれなので、必要だと思うもの、そうではないもの、ご自分でカスタマイズされると良いと思います。
③ 情報を入力していく
エクセル入力のシートを作成したら、あとは、論文や図書文献を読むたびに、作成したエクセルに情報を書き込んでいきます。
参考までに、簡単ではありますが、文献を使用させて頂き、エクセルに入力してみましたので、参考にしながらご覧ください。
※筆者は看護系なので、看護医療系の文献を使用しています、ご了承ください。
※使用させて頂いた文献:急性期病院退院後の在宅復帰支援(本文)
文字が小さくなってしまって申し訳ないですが、こんな感じで必要な情報を入力していくと、自分だけの有益な情報源になります。
また、教授に研究指導を受ける際にも、この文献整理表を印刷して参考資料として提示することが必須となりますので、ぜひ、たくさんの文献を集めて、文献整理表を育てていってください。
ここで作成した文献整理表を添付しておくので、必要な方はどうぞ、無料ダウンロードしてお使いください。
④ 研究文献を分析する
さて、入力をしていくと自分の関心研究分野における情報がたくさん得られますが、ここで大事なことは、
どのようなことが明らかになっていて、どのようなことが明らかになっていないかを知る
ことです。
ただ入力したデータを集めるのが最終目的ではなく、そのデータから、明らかになっていることを知れば、自分が取り組むべきではない研究がわかり、何が明らかになっていないのかを把握できれば、それが、あなたが取り組むべき研究テーマになります。
これを知るために、文献整理をするのです。
この点については、教授からもよく聞かれる部分ですので、研究を行う自分が一番把握しておかねばならない事柄です。
徹底して、把握するようにしてください。
まとめ
以上、「研究文献整理の仕方について」でした。
文献整理表作成は、地味な作業ではコツコツ日々の努力の積み重ねですが、積もれば、研究者として貴重な宝物になるものです。
植木に毎日水やりをするかのように、毎日コツコツ、小さなことを積み重ねていく楽しさを覚えることです、いずれきれいな花が咲く日を目指して。