【お悩み相談#143】毎月20万円のお給料が出るリッチな大学院生「学振DC」とは?【大学院生】

お悩み相談

こんにちは、だるまんです。

大学院生といえば、フルタイム学生が大半で、収入源は多少のアルバイトや親からの仕送りで、それほど優雅な生活を送れるものではない、のが一般的ですが…

毎月20万円程度のお給料をもらいながら大学院を通う博士課程の学生が少なからずいます。

いったいぜんたい、どういう学生なのでしょうか?

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質問内容

相談者
相談者

先日、お見合いパーティーで大学院生博士課程の方と知り合いました。朝から晩まで大学にいるらしく、働いてはなさそうで、生活費はどうしてるのかと尋ねたら、「学振からもらってる」と言っていました。「学振」って何ですか?

だるまんの回答

学振とは?

業界では知られた話になりますが、「学振」こと、「日本学術振興会」という文部科学省所管の独立行政法人のことを指します。

要は国の機関で、その名の通り、国の研究(学術)の振興を図ることを目的としています。

具体的には、

  • 学術研究の助成
  • 研究者の養成のための資金の支給
  • 学術に関する国際交流の促進
  • 学術の応用に関する研究等

を行っているのですが、このうちの「研究者養成のための資金の支給」が、相談者さんから聞かれた「学振からもらっている」という部分に該当します。

そして、学振制度には、下記の5つの申請枠があります。

  1. 特別研究員-DC1:大学院博士課程在学者で博士課程1年目
  2. 特別研究員-DC2:大学院博士課程在学者で博士課程2年~3年目
  3. 特別研究員-PD:博士の学位取得者
  4. 特別研究員-SPD:博士の学位取得者
  5. 特別研究員-RPD:博士の学位取得者

ということで、学振を通過した博士課程の学生のことを「学振DC」と呼びます。

なので、相談者さんがお見合いパーティーで知り合った方とは、この「学振DC」に該当されるのだと察します。

どれくらいもらえるの?

どのくらいの資金をもらえるものなのか、調べてみました。

日本学術振興会の公式HPによると、下記のような制度内容となっています。

採用期間研究奨励金研究費
特別研究員-DC1(大学院博士課程在学者)3年間月額200,000円毎年度150万円以内
特別研究員-DC2(大学院博士課程在学者)2年間月額200,000円毎年度150万円以内
特別研究員-PD(博士の学位取得者)3年間月額362,000円毎年度150万円以内
特別研究員-SPD(博士の学位取得者)3年間月額446,000円毎年度300万円以内
特別研究員-RPD(博士の学位取得者)3年間月額362,000円毎年度150万円以内

大学院博士課程の学生で月20万円の研究奨励金が出資されれば、アルバイト等に時間を費やすことなく、研究に集中することができるので、非常に心強い制度だと思います。

ところが、さとぶろぐさんのお話によると、社会保険料を差し引いて、手取り16万円ほどだそうなので、これを高いとみるかどうかは、冷静に電卓をたたいてみる必要があります。

なぜなら、

  • 月20万の給与を得ると親の扶養から外れる(1月~12月の収入が103万以下は扶養内)
  • 奨学金(貸与・給付どちらも)を得ることができない
  • 年金や保険料の支払いは自分で支払う必要があること
  • 就労による社会保険に加入できない
  • 就労は基本的に不可(若干の例外適応はある)

といったデメリットと言われる部分があるからです。

それでも、学振を選択する方の決め手というのは、

  • アカデミアに残るなら、「学振」はキャリアとしていい評価対象になる
  • 十分な研究費用がもらえる

という点です。

学振は誰でももらえる?

この学振は、誰でももらえるのかについてですが、

日本学術振興会の公式HPによると、2022年度の特別研究員採用状況は、

申請者数(名)採択者数(名)採択率(%)
RPD1936332.6%
PD1,70534820.4%
DC25,8331,09418.8%
DC13,82470718.5%

となっており、やはり、競争率は高いと言えます。

ですが、DC1の場合、論文投稿経験がない、要は実績のない方でも申請することができることから、申請のハードルが低いことと、実績がなくても実際に通過している方々もいることから、始めから硬く構えずに取り組んでみるべきという声は多いです。

加えて、申請にあたり、研究計画書等の書類作成に、教授や助教の先生方が添削をしてくれたり、発表の練習に付き合い、助言をしてくださるなど、手厚く指導してくれます。

また、計画書を書くこと自体が研究者として、大変勉強になる、良い経験になるという経験者は多いことから、将来、研究者を目指されるのであれば、ダメがもとでも自ら挑戦をしてみるべきだと言えます。

そして、DC1の場合は、博士課程1年目の方が対象となるので、申請は1回のみとなり、不合格の場合はそこまでですが、DC2の場合は、博士課程卒業まで申請することができるので、チャンスは複数回あり、何度も挑戦されている方もいるようです。

学振に限らず、民間企業の研究費助成などもたくさんありますが、やはり、何度でも挑戦する背景には、研究者業界で「学振合格者」というお墨付きは、非常に栄光とも言えるからです。

まとめ

以上、「毎月お給料をもらっているリッチな大学院生、「学振DC」とは?」でした。

「アメリカではお金をもらいながら大学院を通うことが出来る」なんて話を漠然と聞いたことのある方は多いと思いますが、日本にも実際にそういう学生がいるというのは、やはり、その境遇にならなければ知らないことも多いです。

もし、ご自分が今後、博士課程に進む予定がある、将来は研究者を目指しているということであれば、ぜひ、早いうちから学振についてアンテナを張り、情報をたくさん集めながら、協力して頂けそうな方から合格ノウハウを教えてもらう、助言してもらうことです。

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