こんにちは、だるまんです。
看護系大学院受験の専門・小論対策として頻出のキーワード「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」について、受験生の立場で調べてみました。
頻出キーワードなので、この記事で大事な要点だけでも突破して頂ければと思います。
出題傾向
キーワード | リプロダクティブ・ヘルス/ライツ |
頻出度 | |
出題される分野 | ・共通問題、全分野にて出題される傾向有 ・母性看護学・助産学・国際看護学 |
知っておくべき用語の常識
歴史
国連では1945年の創設時より、女性の人権活動が行われてきましたが、女性の妊娠・出産に関する意思決定の尊重やそれに関する人権について具体化したのは、1960年代に入ってのことです。
まず、1968年に行われた「テヘラン宣言」にて「親には、子どもの数と間隔を自由かつ責任を持って決定する基本的な人権がある」と述べられ、人権の一つとして生殖に関する権利というものが登場しました。
具体的には、「両親は、児童の数及び出産の間隔を自由にかつ責任をもって決定する」権利が提唱されています。
その後の1969年、アメリカボストンで女性会議の分科会が開かれたのをきっかけに、ボストン「女の健康の本」集団が” Our Bodies, Ourselves“という書籍を出版しました。
この本の主張は、
「からだの主体者はからだの所有者自身であり,健康を守ること,自分の身体の問題
を自らの意志で決めていくことは基本的人権であり権利である」
という、いわゆる「リプロダクティブ・ライツ」そのものでした。
それと共に、「多くの女性が安全に合法的中絶を受けられる権利」について、アメリカのみならずヨーロッパでも声が高まっていき、
- 1975年 国連女性の十年: 1976年からの10年を「国連婦人の十年」⇒世界を巻き込んだ女性の地位向上キャンペーンのスタート
- 1979年 女性差別撤廃条約: 「女子に対する差別」を定義
- 1993年 ウィーン人権会議: 「女性と少女・女児の人権」を明確化
等の活動を重ねた結果、ついに、
重要1994年にカイロで開催された国際人口開発会議 (ICPD) にて、具体的に次の四つの権利を基本にした「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」の概念がはじめて公式に提唱されたのです。
さらに、翌1995年北京国連世界女性会議にて、改めてこの権利が「女性の基本的人権」として確認されたと言われています。
リプロダクティブ・ヘルス/ライツとは
「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」というのは、
- リプロダクティブ・ヘルス
- リプロダクティブ・ライツ
の二つの概念を合わせた用語になるので、それぞれに分けて概念をお話ししたいと思います。
リプロダクティブ・ヘルスとは
まず、リプロダクティブ・ヘルスとは、英語にすると、Reproductive=性と生殖に関する、health=健康、で、日本語に訳すると、「性と生殖に関する健康」となります。
「性と生殖に関する健康」が具体的に、何を指しているのかと言うと、
ということを意味しています。
具体的には、
- 子どもを持つことが可能であることと同時に、自分たちの生殖能力を調節して希望する数の子どもを希望するときに持つことができること
- 安全な妊娠・出産の経験、母児の生命健康にとって安全な妊娠出産を可能にするためのケアやサービスを受けることができること
- 望まない妊娠や病気に感染するおそれなしに性的関係を持つこと
といった考え方になり、ここには性、妊娠、出産に関する適切な教育や情報へのアクセスも含まれます。
要は、
女性が自分の健康をふまえて、何人の子供を持つか、いつ持つのかを自分で決めたり、安全な妊娠・出産をしたり、子どもが健康に生まれ育つサービスを受けたり、安全な性関係をもつことができるようにしましょう!
ということを、全世界に向かって、国連がスローガンを掲げたよ!ってことです。
そして、「国連がスローガンを掲げたからには、各国で積極的に取り組んでね」、ということで、国単位で様々な活動が行われています。
この具体的な活動内容については、後ほど、お話しするとして、
ここでもう一つ覚えておきたいコトは、
この「リプロダクティブ・ヘルス」の考え方を基に、女性の性行動、生殖行動に関わる領域において、女性が自分自身で決定する人権を主張しているのが、「リプロダクティブ・ライツ」の考え方である、ということです。
では、続いて、リプロダクティブ・ライツについてお話しします。
リプロダクティブ・ライツとは
リプロダクティブ・ライツというのは、英語にすると、Reproductive=性と生殖に関する、Right=権利、で、日本語に訳すると「(性と)生殖に関する権利」となります。
正式な定義として、WHOが定めているリプロダクティブライツの定義には、
大事生殖に関する権利は、すべてのカップルと個人が、出産する子どもの人数、間隔、時期を、自由に責任を持って決断することができる権利、そしてそのための情報と手段を持つ権利、およびできうるだけ最高水準の性と生殖の健康を手に入れる権利を認めることにかかわっています。それらにはまたすべての人が差別と強制と暴力をうけることなく生殖に関する決定をする権利も含まれる。
wikipedia
となっています。
長いので、もう少し簡単明瞭にすると、
国際連合を中心として国際社会レベルで提唱された「女性の人権」のことです。
先ほど、リプロダクティブ・ヘルスというのは、「女性が健康をふまえて行う自己決定権を保障する考え方」であり、この考え方を権利として主張しているのが、「リプロダクティブライツ(性と生殖に関する権利)」となるということです。
日本の取り組み
日本では、
大事2000年、国の男女共同参画基本計画にリプロダクティブライツが盛り込まれた
ことで、具体的には、下記の項目について取り組んでいます。
各項目の説明については、内閣府公式HP男女共同参画局のページにて確認して頂けます。
大学院試験では、自由記載で書く欄が広いことが多いので、こういった具体策についても、大きな指針3つについておおまかには、書ける程度に暗記しておくとよいと思います。
リプロダクティブ・ヘルス・ライツの課題
各自治体がそれぞれに課題を挙げて取り組んでいるのですが、よく取り上げられている課題をピックアップしてきました。
- リプロダクティブ・ヘルス・ライツの知識普及
- 性教育の充実
リプロダクティブ・ヘルス・ライツの知識普及
未だに、「リプロダクティブ・ヘルス・ライツ」という言葉を聞いて、その意味を把握している人とはそれほど多くない、社会に浸透している言葉というには、まだほど遠い部分があります。
そこで、より「リプロダクティブ・ヘルス・ライツの知識普及」に力を入れ、女性自身が心身の健康を管理することが出来、妊娠や出産を主体的に判断することができるための情報提供が必要です。
また、パートナーである男性側にも、妻の妊娠・出産に対する意思を尊重し、考える機会を作ることが必要と言われています。
学校教育における性教育
学校教育において、生命の尊さを伝え、児童・生徒の発達段階に応じた正しい性教育、啓発を実施することが必要と言われてます。
看護師の役割
試験では、「~についての看護師の役割」を問われることもありますので、こういった課題を把握して置き、看護師・保健師・助産師の立場から出来ることを書けるようにしておくとよいです。
例えば、上記に挙げた課題を行うこともよし、女性の自己決定を支援するための情報提供や話をしやすい気運の醸成、女性の健康づくりへの支援など、上記の男女共同参画基本計画に記載されている支援内容から抽出すると考えやすいと思います。
本日のまとめ
本日のポイントを箇条書きします。
- リプロダクティブ・ヘルス・ライツ=性と生殖の健康・権利
- RHRとは、女性が健康をふまえて行う妊娠・出産等の自己決定権を保障する考えとその権利
- 1994年にカイロで開催された国際人口開発会議 (ICPD) にて提唱された
- 日本では、2000年、国の男女共同参画基本計画にリプロダクティブライツが盛り込まれた
では、また♪