こんにちは、だるまんです。
大学院進学後の進路の大半は大学教員ですが、あまり知られていない進路に「厚労省看護系技官」という職業があります。
看護師・保健師・助産師の資格を持って国家公務員の行政職になれる貴重な職種です。
必要要件には大学院卒業者を含むので、大学院進学をする理由、卒業後の進路にするのも大いにありだと思います。
今回は、厚労省看護系技官の職業概要について紹介します。
厚労省看護系技官

看護系技官って何?
「看護系技官」とは、一般的には耳慣れない職業ですが、看護師の免許かつ保健師の免許または助産師の免許を持って、厚生労働省で勤務する国家公務員のことを「看護技官」といいます。
なぜ、厚生労働省に看護技官が必要なのかというと、事務職である国家公務員が医療・福祉・介護・保健に関するさまざまな施策を決める際に、専門知識を持ち現場を知る看護技官の意見や考えが必要だからです。
医療・福祉・介護・保健の制度に関心がある方、看護師免許を活かして行政で働きたい方に向いている職種といえます。
看護系技官の主な仕事内容
看護技官は、「保健師助産師看護師法」、「地域保健法」、「介護保険法」、「母子保健法」、「社会福祉士及び介護福祉士法」などの法律に基づく行政業務に従事します。
所属する分野によって業務内容に差はあるようですが、基本的には、現地に赴いて現場の声をヒアリングする関連調査、有識者を集めての検討会・関連会議の開催、その関連資料作成、関連機関との連絡調整等など、臨床の働きとは異なり、デスクワーク中心型の働き方になります。
基本的には朝8時半登庁で17時頃に退庁ですが、国家公務員なので、国会会期中は大変忙しく、残業・徹夜になることも多いと聞きます。
看護系技官の勤務先はどこ?
勤務先は、大きく分けて4つの組織となっています。
- 厚生労働本省(東京霞が関)
- 地方厚生局
- 地方自治体
- 独立行政法人
定期的に部署移動がありますので、場合によっては、地方勤務・海外勤務ということがありえます。
所属部署は、医療・介護・保険・福祉に関する幅広い分野があるので、在職期間中に、偏りなく、さまざまなな分野に関する業務に携わることができます。
所属部署ごとの業務内容や役割がこちらのページに掲載されているので、ご参考ください。
所属部署一覧はこちら。
看護系技官のの給与はいくら?
国家公務員の給与は、人事院の俸給表に定められており、看護系技官は「行政職俸給表(一)」に属します。

こちらの資料は、平均での数値が公表されていますが、看護系技官は多くの方が新卒採用ではなくキャリア採用なので、学歴や経歴などが加味された号級からのスタートとなります。
なので、実際に入庁してみなければ、具体的な給与はわからなと言えます。
国家公務員の手当てが色々ありますので、詳細は、こちらの資料をご覧ください。
看護系技官ののメリット・デメリット
看護技官になるメリットは、国家公務員ならではの安定した給与・福利厚生があること、 幅広く行政業務に携わることでの仕事のやりがいがあること、職場で関わる人々が臨床の時とはかなり異なることだと思います。
一方のデメリットは、国家公務員全般で言えることとして、タスク量が多いこと、それに比較して給与は決して高いとは言えないこと、地方・海外転勤する可能性があることです。
看護系技官になる必要要件とは?
採用要件は下記の4点が基本となっています。
- 日本の看護師免許を取得している者であって、かつ日本の保健師免許又は日本の助産師免許を取得している者
- 看護系大学を卒業している者又は看護系大学院修了(見込みを含む)の者
- 看護に関する業務(修士課程の期間を含む)経験を採用時点で7年以上有する者
- 看護行政の業務に理解を示し、意欲のある者
公式サイトで紹介されている情報をもとにすると、前職は「保健師」「助産師」「看護師」として臨床経験が5年以上ある方もしくは「看護教員」で、修士課程卒業者である傾向がありました。
在職しながら博士課程へ進学される方もいましたので、職場柄社会人進学できる環境があることが伺えます。
看護系技官応募に必要な書類は?
応募書類は下記の5点となります。
- 小論文(「業務経験を踏まえ厚生労働省で取り組みたいこと」800字程度)
- 履歴書
- 卒業証明書、修了証明書(修了見込証明書)
- 看護師免許証(写)と保健師免許証(写)又は助産師免許証(写)
- 推薦状2通(推薦状は日本語により、所属先からのもの(過去の所属先も可)に限り、1通は所属長の推薦状とする)
※大学院在学中の者は担当教授等の推薦状
※病院に勤務中の者は看護部長等の推薦状
推薦状が2通必要になりますが、大学院進学者は担当教授の推薦状と、所属長=学科長の推薦状が必要です。
これを事前に踏まえて、大学院進学とその準備をすることです。
看護系議会の募集時期は?
採用試験は、毎年4月1日採用を行っており、毎年秋ごろから採用募集が始まるようです。
看護系技官の採用試験とは?
試験は、小論文と面接になります。
問合せをしてみたところ、小論文試験の過去問は公式にでておらず、採用側からも試験概要における情報は一切公表していないとのことでした。
推測になりますが、事前提出の課題が「「業務経験を踏まえ厚生労働省で取り組みたいこと」800字程度」となっているので、本試験では自分の関心のある分野での政策に関する意見、〇〇についての考えを書くなど、かなり自由度の高い小論文試験になるのではないかと察します。
そのため、基本的に小論文の書き方「型」を身につけ、看護系技官が携わる施策に関する情報、取り組みや課題点などを書き出してまとめておくとよいと思います。
看護系技官業務説明会
毎年7~9月頃に開催されているようですので、関心のある方は参加されてみると、より有益な情報を得られると思います。


まとめ
看護系技官は、希望者が多くても採用される人数が少なく限られているので、資格持ちで院卒なら憧れる職業のひとつだと思います。
大学院進学をすることで、プレゼン力や資料をまとめる力、調査力が評価されやすい面があるようなので、大学院進学を目指す方、現に大学院生の方は、今後の進路として検討されてみてもよいと思います。
看護技官になることで業務の大変さはあると思いますが、省の国家公務員、関係省、関連自治体、看護協会、看護系国会議員、大学教授等など、関わる人の層が変わって来るので、また違うステージに身を置くことができるチャンスです。
看護行政に携わり、日本社会制度の仕組みづくりに寄与する一人になってみませんか。