こんにちは、だるまんです。
前回の記事で、行政保健師の魅力や公務員の特典について解説をしました。
今回は、その続きで、行政保健師を目指したい方に向けて、意外とわかりづらい、「都道府県市区町村別の行政保健師の違い」について、図解を用いてわかりやすく解説していきます。
これを読み終えた頃には、自分がどの行政に向いているかがわかるようになります。
行政保健師の枠組み
まず、公務員のシステムを簡単に説明します。
公務員には、大きく分けて「国家公務員」と「地方公務員」の2種類があります。
「国家公務員」といえば、〇〇省などに勤める職員のこと、「地方公務員」といえば、都庁や県庁、市区町村などに勤める職員のことを指し、行政保健師は後者の「地方公務員」に属しています。

地方公務員の仕組み
「地方公務員」をより細分化すると、「都庁」「都道府県庁」「特別23区(東京都)」「市区町村」に大きく分類することができます。
その関係性は、「都庁」が「東京23区」を、「道府県庁」が「市区町村」を統括・管理・教育をする、上下の関係性が成り立っています。

これを踏まえると、行政保健師の雇用先は、①都庁、②道府県庁、③東京23区(特別区)、④-(1)市区町村(中核市・政令都市)、④-(2)市区町村(中核市・政令都市以外)で、4種類5カ所あるといえます。
それを下記の図のとおり、5人の所属別行政保健師を例に、その違いについて解説していきます。

行政保健師の組織図
上の図をより詳細にすると、こうなります。

要は、所属する組織は違っても、その立ち位置は横並び関係にあるという事です。
行政保健師の採用別特徴
大きく5カ所の採用枠があるとご理解頂いたところで、次にお伝えしたいことは、組織ごと、地域ごとに業務の特徴があるということです。
ここでは、中でも特に注意が必要な「①業務内容」、「②交通手段」、「③異動」の3点について取り上げます。

業務内容の違い
どの組織においても、保健所と保健センターでは担う役割が異なるので、そういう意味で業務が包括的にもなったり、個別的になることの差はありますが、基本的には対人サービスが多いです。
唯一、道府県職員の場合、異動先によっては、管轄の市町保健師の教育指導などにも携わる機会があるかもしれないです。
また、管理職になると、対人サービスよりは管理業務に携わることが多いです。
交通手段の違い
交通手段とは、自治体の地域性に大きく関わることで、東京23区職員では比較的、自転車を移動手段とすることが大半ですが、それ以外の行政保健師は、車移動が多いです。
そのため、採用時には免許保有者が優遇される傾向にあり、運転は欠かせないので、自分がその辺りを可とするのかどうかを考えておく必要があります。
異動先の違い
勤務3~5年ごとに1度、どの職場でも異動があり、異動先は下記のとおりです。
23区役所職員 | 本庁・保健所・保健センター |
都庁職員 | 本庁・保健所・保健センター |
道府県職員 | 本庁・保健センター |
市役所職員 (中核市・政令都市) | 本庁・保健所 |
市役所職員 (中核市・政令都市以外) | 本庁・保健センター |
ここで注意しておきたいことは、管轄している保健所や保健センターが辺鄙な場所にあることは意外に多く、交通不便に苦労する保健師は多いです。
その点は、後から後悔のないように、事前に管轄の保健所・保健センターをよく調べて決めることがポイントです。
その他、気になること

給与や福利厚生の違い
みんなが気になるお金の話ですが、公務員の中でも行政保健師とは、有資格者で一類採用なので、高給取りの枠に入ります。
どの組織にしても、給与の差に大差はなく、地域ごとに支給される地域手当で多少の差がある程度です。
公務員は年功序列制ですので、仮に採用前にキャリアがあったとしても、給与への影響は微々たるもので、同期と等級はほぼ同じ、お給与に差はそれほどないと見込んでおいた方がいいです。
夜勤ありの看護師業務に比較したら断然、公務員の給与は低いですが、それ以上に福利厚生の手厚さや安定した職場であるということは、行政保健師の魅力のひとつであると思います。
試験の難易度
試験難易度は、道府県庁=東京23区>市区町村ですが、東京23区の場合、志願区によっては、人気により倍率が高い傾向にあります。
近年、保健師ニーズが高まり、多めの採用をしている自治体が増えてきていますので、一般事務職に比較すると、比較的、合格率は高いと思います。
平均年齢
行政保健師は、新卒よりも、社会人入学者や編入者のキャリアを経て入庁してくるケースが多く、平均年齢は、自治体にもよりますが、27~30歳程度が多く、中には、40歳代で入庁してくる方も少なくない職場です。
まとめ
以上、「都道府県市区町村別の行政保健師の違い」についてでした。
行政保健師と一言で言っても、属する組織、地域によって、その働き方はかなり異なります。
一度就職すると転職する機会が少ない職場ですので、よく調べて、ここだと思える愛着ある地域、住みたい地域、住み慣れた地域、住んでみたい地域に就職することです。
次回は、保健師養成校にこれから入学するなら、専門、短大、大学、大学院のどちらがいいのか、比較したいと思います。