こんにちは、だるまんです。
看護系大学院受験の専門・小論対策として頻出のキーワード「プライマリ・ヘルス・ケア」について、受験生の立場で調べてみました。
頻出キーワードなので、この記事で大事な要点だけでも突破して頂ければと思います。
出題傾向
キーワード | プライマリ・ヘルス・ケア |
頻出度 | |
出題される分野 | ・共通問題、全分野にて出題される傾向有 ・国際看護学 |
知っておくべき用語の常識
看護学生時代に誰もが一度は教科書で学んだことのある用語「プライマリ・ヘルス・ケア」ですが、振り返ってみれば、ただ暗記するだけの目先の勉強で、誰かに問われたら説明できるほどの記憶はなく…
この機会に、どうしてこの用語が生まれてきたのか、ビハインドストーリーを知らべてみました。
きっと、このストーリーを読めば、わざわざ覚えようとせずとも、自然と記憶に残るはずです。
世界史を見てみよう
用語の歴史について調べてみたのですが、なかなか詳細に書かれているものが見つからず、山本敏晴先生のブログ「プライマリーヘルスケアの歴史的背景」から学んだ内容を要約してお話しさせて頂きます。
世界に貧富の差が生まれた理由
時は16世紀、17世紀。
当時、ヨーロッパによる植民地化が進み、アジア諸国やアフリカからの資源が流出、18世紀には産業革命によりヨーロッパの経済発展に拍車がかかり、みるみる内に、経済格差が広がっていったと言います。
その状況が長らく続いていての1950年代、欧米の大企業家たちにより、途上国に対する大規模なアグリビジネス(農業製品を使う商売)と工業化が始まります。
というのも、「途上国の富裕層を豊かにすれば、途上国の貧困層も豊かになる」という経済理論「トリクルダウン」が信じられていたからだそうです。
※トリクルダウンといえば、アベノミクスの経済立て直し論でも話題となった話なので、ご興味のある方はこちらの記事「トリクルダウンの実際を考える」をご覧ください。
話を元に戻しまして、実際に、トリクルダウンを行った結果は、貧富の差を縮めるどころか、より広げる結果をもたらしました。
この状況は、医療分野の技術においても同じでした。
先進国では最新先端の医療技術の提供を受けることができても、途上国では、最新先端の医療技術どころか、先進国なら簡単に治る病気でさえ治せずに死にいたる人が多かったようです。
そして、この状況を変えようという思想がうまれた結果、「アルマ・マタ宣言」をすることにつながりました。
アルマ・マタ宣言
「アルマ・マタ宣言」は、現在のカザフスタン共和国にあるアルマティ(当時はソビエト連邦アルマ・マタ)にて、1978年にWHOとUNICEF主催の国際会議にて決議されました。
「すべての人々に健康を(Health For All by the Year 2000 and beyond)」という目標を設定し、目標達成のために作られた方法論が「プライマリー・ヘルス・ケア」となります。
プライマリーヘルス・ケアとは
「アルマ・マタ宣言」にて提唱された「すべての人々に健康を」の目標達成の方法論である「プライマリー・ヘルス・ケア」とは、
check すべての人にとって健康を基本的な人権として認め、その達成の過程において住民の主体的な参加や自己決定権を保障する理念であり、そのために地域住民を主体とし、人々の最も重要なニーズに応え、問題を住民自らの力で総合的にかつ平等に解決していく方法論・アプローチ
Wikipedia
ということなのですが、簡単に要約すると、
社会の状況を踏まえて、世界中の人々が、より平等に医療や保健サービスを受けられるように、貧困を撲滅して、根本的な社会・政治的構造を変えていくために、この方法を使いましょう!
ということが提示されたということでした。
プライマリ・ヘルス・ケアは2つある
ところが、当初1つの方法論であったプライマリ・ヘルス・ケアは、考え方の違う組織員達によって、すぐに二つの方針に別れてしまったそうです。
「包括的プライマリーヘルスケア」と「選択的プライマリーヘルスケア」という方針です。
「包括的プライマリーヘルスケア」というのは、従来に定められた「プライマリ・ヘルス・ケア」の方法論のことで、下記の5原則のもと、下記の8項目について具体的に取り組んでいきましょう、と定められました。
対して、「包括的プライマリーヘルスケア」は、達成に長い年月がかかりすぎる、あまりにも、理想論すぎて、到底実現不可能だと考えた人々が、妥協的概念として、特定のターゲットを設定する戦略「選択的プライマリーヘルスケア」という方法論を生んだと言われています。
どちらが正しいということはないようですが、ターゲットや団体によっても解釈は異なるようなので、二つの方法があるということまで把握しておくとよいと思います。
プライマリ・ケアとの違いは?
似ている用語に「プライマリ・ケア(PC)」という言葉があります。
プライマリ・ケアとは、個人や家族への個別的な医療・ケアを提供する家庭医による総合医療のことを指しており、「アルマ・マタ宣言」を受けて、地域住民全員の健康を守り増進する役割を与え強化することが加わるようになりました。
要は、プライマリ・ケアというのは、プライマリ・ヘルス・ケアの一部とされています。
本日のまとめ
本日のポイントを箇条書きします。
- プライマリ・ヘルス・ケアとは、1978年アルマ・マタ宣言にて提唱された方法論である。
- アルマ・マタ宣言の目標は「すべての人々に健康を」
- 定義「社会の状況を踏まえて、世界中の人々が、より平等に医療や保健サービスを受けられるように、貧困を撲滅して、根本的な社会・政治的構造を変えていくための方法論」
- プライマリ・ヘルス・ケアには「包括的プライマリヘルスケア」と「選択的プライマリヘルスケア」がある
- プライマリ・ケアはプライマリ・ヘルス・ケアの一部
では、また♪